2008年2月11日月曜日

掲示板「梁山泊」過去ログデータ 55

金国雄さんへ 投稿者:まこと 投稿日:2006年 3月22日(水)07時56分12秒   編集済
金国雄さん、レスありがとうございます。

レーニン「旅順の陥落」についてですが(ネット上にも全文アップされているようなのでリンクを張っておきます)、

http://www.geocities.jp/meltext001/lenin/l08/l08-033.html

この論文において彼は「進歩的」「反動的」という言葉を20世紀初頭の国際情勢・ロシア国内情勢を踏まえつつ、彼なりの社会主義革命観に立脚して用いていると思うんですよね。

現在の米国を「帝国主義国」と規定するか、あるいは「帝国」と認識するか、あるいはネグリのようにある種の国際ネットワークを「帝国」と位置付けるか-まあその辺は人それぞれだと思いますし、私も今ここで踏み込む気はありません。ただ、米国のイラク侵攻は「戦争の違法化の模索」「植民地の独立」という歴史的経緯を経験したに21世紀の世界に真っ向から対峙するものであり、レーニン「旅順の陥落」における言葉を借りるならば、現在の米国は「おくれた、反動的なヨーロッパ」を体現する国家ということになるのでは無いでしょうか。

勿論、サダム・フセイン体制や金正日体制が民衆に苛烈な独裁体制を敷いているのは紛れも無い事実であり、かの国々をレーニン言うところの「進歩的な、すすんだアジア」「若い日本」とみなすことはできない。ツァーリズムを「進歩的」と評することはできないのと同様に。

さりとて、かの小論を以って、「おくれた、反動的なヨーロッパ」による、現地の多数の民衆の支持を獲得し得ていない体制打倒・「民主化」「人権」を名目にした他国への武力介入の正当化を試みようとするは、それこそ「反動」を唱えるが如きと評するしか無いように思います。

要するに、21世紀に暮らす私達が漠然と【自称「民主主義」国家=「進歩的」・イラクのサダム・フセイン体制&北朝鮮の金正日体制=「反動的」】と把握し、米国のイラク侵攻に反対し、米軍による対北朝鮮武力介入に「幻想」を抱くが如き発言に異論を唱える人間に「奴隷の平和」などというレッテルを貼って攻撃するが如きは、件の小論の政治的文脈を根本から蔑ろにすることだと私は考えます。

なお、右派系の論客の中には戦前の大日本帝国の歴史を正当化するためにこの「旅順の陥落」を引き合いに出す向きもありますが、日清・日露戦争を経たその後の大日本帝国という国家はレーニン言うところの「おくれた、反動的なヨーロッパ」としての道-即ち台湾・朝鮮を植民地支配し、アジア諸国を圧迫し・軍事侵攻するという日本帝国主義の道-を歩み、日本の民衆社会も自らの力でかような「反動」を抑止し得なかったという歴史的事実を私達は認識すべきだと考えます。

ところで、

>ただし、現実の運動から見てなかなか難しいところもあるように思いますし、果たしてそのように単純(申し訳ありません)に言えるのかに私はまことさんとはこの点では少しばかり意見をことにするところを持つのですが。(金国雄さん)

仰る通りですね。
あの一文は「かくあるべし」を論じたといいますか・・・。
まあ、いわゆる「場の雰囲気」を踏まえて「理想的な一般論」を論じたものだとお考え頂ければ幸いです。
私も、「現場」ではそんな「単純」な論理が通用するものでは無いことは理解しているつもりです。

最後に「シナ」についてですが、この言葉自体の語源・本来的意味には差別的ニュアンスは無かったと思いますが、戦前の日本の歴史的経緯を考えれば、日本語で「シナ」「支那」と呼称することは英語で"チャイナ"と呼称することとは根本的に違う意味合いがあると思います。

私は件の掲示板における猛獣文士さんの議論を全て支持している訳ではありませんが、氏が「シナ」「支那」という言葉の用法に拘るのは当然だと思いますし、この言葉の使用者に異論を唱えるお気持ちも理解できます。


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峻別 投稿者:金 国雄 投稿日:2006年 3月21日(火)22時00分10秒   編集済
過去ログでしょうか?
http://8717.teacup.com/onibara2/bbs?OF=270&BD=3&CH=5

 では、ある投稿の中で「仕方がないですよね。」とありましたね。

 はたしてこのことを問題することが、一般に言われる言葉狩りだ
ろうか?

 わたしには日本の現状を反映しているではないかとおもえる。

 いやはや日本(一部)の左翼とはなんだろうか? 極右とどこが
違うのだろう? 多分、世の中には「「左翼」、「右翼」と区分す
るカテゴリーと異にするカテゴリーが存在するのだろう。


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Re: ささやかな疑問より(文献『旅順虐殺事件』) 投稿者:金 国雄 投稿日:2006年 3月21日(火)21時22分7秒   編集済
 資料として「アジア歴史資料センター」より。


◆韓国ノ国号ヲ改メ朝鮮ト称スルノ件○旧韓国在外指定学校職員ノ名称待遇及任用解職ニ関スル件○旧韓国軍人ニ関スル件○内地、台湾及樺太ト (目録) 18画像
   (公文類聚・第三十四編・明治四十三年・第一巻・皇室門・皇族・帝室財産、政綱門・詔勅~雑載)

韓国ノ国号ヲ改メ朝鮮ト称スルノ件○旧韓国在外指定学校職員ノ名称待遇及任用解職ニ関スル件○旧韓国軍人ニ関スル件○内地、台湾及樺太ト朝鮮トノ間ニ通航スル船舶ニ関スル件○韓国勲章及記章ノ佩用ニ関スル件ヲ定メ○税関官制中ヲ改正ス
(公文類聚・第三十四編・明治四十三年・第一巻・皇室門・皇族・帝室財産、政綱門・詔勅~雑載)

 他にもあり。


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Re: レーニン「旅順の陥落」と北朝鮮「民主化」についてのメモ 投稿者:金 国雄 投稿日:2006年 3月21日(火)20時49分52秒   編集済
 引き続いて

過去ログでしょうか?
http://8717.teacup.com/onibara2/bbs?OF=270&BD=3&CH=5

 普段目を通していない他の掲示板での議論に安易に口をはさむことはどうかともは
ばかれますがいまのところ管理人さんの掲示板運営の姿勢が私には良く分からないた
めコメントを控えますが、私は当該の掲示板に以後、目を通したいとは思えないので
す。瞥見ながら。


 参考までに「アジア歴史資料センター」での検索「呼称」の結果を紹介します。

 1. 公文上支那国号ノ呼称ニ関スル件ヲ定ム (目録) 9画像
   (公文類聚・第五十四編・昭和五年・第十六巻・外事四・雑載)

 他にも多くの関連する資料あり。

 それでは。
  金 国雄 拝


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Re: レーニン「旅順の陥落」と北朝鮮「民主化」についてのメモ 投稿者:金 国雄 投稿日:2006年 3月21日(火)20時13分2秒
> 「レーニン「旅順の陥落」と北朝鮮「民主化」についてのメモ」
> http://blog.livedoor.jp/zatsu_blog/archives/50659721.html

 を瞥見(これは樹々の緑さんに教わった言葉ですが)しての感想(あまりにも時間
がなく、引用文の全文を読む時間もなく、そのため文脈から判断する部分に欠け勘違
いをする恐れがあります)その上で、

 戦争は必ずしも帝国主義が関わって起こるものではないですよね。宗教戦争も民族
紛争から起こることもありますね。また抵抗権としてその意味でまことさんの言わん
とすることは理解できますよね。また「進歩性」ということも現在の到達点としてこ
の時代を見る上で大切と考えます。いやこの「進歩」が大切と私は考えるのですが。

 また良く知らないのですが紹介にある「流論文」がそのようなものであれば(私は
目にしていない関係)ときとして日本でも以前から繰り返されてきた歴史と同様かと
も考えます。

 >その為にも『「日本」という枠組みに制約された「左翼」と「右翼」という弁別』
 >(*注)を超えた「別個に進んで共に撃たん」のスタンスが求められるであろうと考
 >えるものであります。

 ただし、現実の運動から見てなかなか難しいところもあるように思いますし、果た
してそのように単純(申し訳ありません)に言えるのかに私はまことさんとはこの点
では少しばかり意見をことにするところを持つのですが。

 ただし次の言葉もあり私の拙読とも思いますが。

>ただ、北朝鮮の民主化を求める民衆の運動が日本の自由と民主主義を損ねるような
>状況に繋がるようなこともあってはならないのではないか、と私は考えるものであ
>ります。

 私は今この点が非常に大切ではないかと考えるのですが。

 それでは。
  金 国雄 拝


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Re: 自衛隊による拉致被害者救出のシミュレーション・佐藤守・元空将/戦略情報研究所 投稿者:金 国雄 投稿日:2006年 3月21日(火)19時18分24秒
 まことさん、こんばんは。当掲示板ではお久しぶりです。

 社会主義者さん、かつてのsinkenさんの掲示板で意見を拝読さてて頂いております。
ただし、いつもとはいきませんが、まことさんの投稿で学ぶところが多々あります。
そのことをはじめ、まことさんの活動に感謝しております。

 またいつでも暇がありましたなら拙宅にでもお越しください。同じ名古屋に住む縁
としてもいつも歓迎いたします。(本当は一度お会いしたとの私の願望もあります。
ただ来月初旬より連れ合いが里帰りする関係おもてなしができません。以後おいおい
にでも)

 ニュース等、情報また意見を本当に助かります。改めて御礼を申し上げます。今後
ともできればお願いいたします。まことさんの考えや意見の多くを同感する私として
は、これは樹々の緑さんとも共通するのですが。

 それでは。
  金 国雄 拝


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レーニン「旅順の陥落」と北朝鮮「民主化」についてのメモ 投稿者:まこと 投稿日:2006年 3月21日(火)11時48分8秒
金国雄さん、こんにちは。

今日は休日で午前中はヒマなので、久々に私が運営する閑古鳥ブログにエントリーをアップしました。差し当たり、かような↓記事を書いてみました。

「レーニン「旅順の陥落」と北朝鮮「民主化」についてのメモ」
http://blog.livedoor.jp/zatsu_blog/archives/50659721.html

もし宜しければご笑覧いただければ幸いです。


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自衛隊による拉致被害者救出のシミュレーション・佐藤守・元空将/戦略情報研究所 投稿者:まこと 投稿日:2006年 3月21日(火)08時20分30秒   編集済
金国雄さん、お久しぶりです。

これは北朝鮮・拉致問題、そして最近の改憲動向などを考える上でも重要な情報だと前から思っていたので、この機会にリンクを張っておきます。

・「自衛隊による拉致被害者救出のシミュレーション・佐藤守・元空将/戦略情報研究所」(薔薇、または陽だまりの猫)
http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/31e78ddef173b9f9b3b9cc11a26d50f4

・「自衛隊による拉致被害者救出のシミュレーション」(酔夢ing Voice-西村幸祐)
http://nishimura-voice.seesaa.net/article/14038441.html

・「拉致被害者救出シミュレーション」(アルパカ日記)
http://plaza.rakuten.co.jp/alpaca/diary/200602250000/

・「ついに本性をあらわした!」(軍事評論家=佐藤守のブログ日記)
http://d.hatena.ne.jp/satoumamoru/20060310

戦略情報研究所と言えば「特定失踪者問題調査会」「救う会」などで活躍している荒木和博氏が代表を務めている「研究所」ですが、何のためにかようないわくありげな「シミュレーション」を行うのでしょうか・・・。

彼らの現実政治や世論に与える影響力、そして何よりも【彼らが単なる市井のいち軍事アナリストなどでは無く、現実に拉致被害者や特定失踪者の救出運動を主導している立場である】点を考えると、「たかがシミュレーションだから別に良いではないか」と見過ごすことはできないような気がします。

さらに、荒木氏が嘗て「特定失踪者問題調査会代表」名で防衛庁や内閣府に対し、「最終的には軍事力が必要」で「金正日体制崩壊の混乱のときの邦人保護」のためにも「北朝鮮のミサイルや特殊部隊に対する対応を進めておられ」る自衛隊は「この部分でも早急に準備を整えて下さいますよう、心よりお願い申し上げます」と「要請」していた(防衛庁への要請文書より)という事実も、この「シミュレーション」が持つ政治的意味を考える上で留意しておく必要があるような気がします。

http://www.chosa-kai.jp/cyosakainews/news0310.TXT

それでは・・・。


(追記)

額賀防衛庁長官や麻生外務大臣、安倍官房長官らが国会で「北朝鮮崩壊」時に「邦人救出」を名目にした自衛隊派遣の可能性に含みを持たせる発言をしたようです。
「自国民救出・保護」を名目にした海外派兵が歴史的にどんな役割を果たしたか-憲法改定が具体的な政治日程に登る可能性が高い今だからこそ、私たちはいま一度惹起すべきだと思いますね。

「額賀防衛庁長官、「北朝鮮崩壊時の邦人人保護」で国会答弁。麻生・安倍も」
http://blog.goo.ne.jp/harumi-s_2005/e/f0c278bc8bca045a9a6274437ebca6b5


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Re: ささやかな疑問より(文献『旅順虐殺事件』) 投稿者:金 国雄 投稿日:2006年 3月20日(月)21時18分56秒   編集済
 樹々の緑さん、こんばんは。

 書き終えていた文章が手違いで削除してしまいまた書き直します。樹々の緑さん、
あまり無理をせず返事をください。体調を崩されてもなんです。徹夜は体を壊しま
す。

 昨日の朝日新聞「読書欄」に鶴見俊輔氏による『差別とハンセン病』(畑谷史代
著)書評が載っていましたがその中、次の内容がありましたが非常に示唆に富む言
葉です。

 「90年にわたる隔離の中に生きた人たちは、自分たちが閉ざされている
  ことを忘れない。隔離が法によって廃止された後も、外の社会の偏見に
  よって隔離は続いている。むしろ、法律上もはや隔離はなくなったとい
  う常識が、今も続く隔離を支えている。」

>  この点、ウィキペディアなどを見ると、たしかに、現代韓国の表記では「李氏朝鮮」
>は植民地史観によるものであるから、「朝鮮」と呼ぶのが正しいとされるとありました。
>私の感覚では、「ササン朝ペルシャ」と「アケメネス朝ペルシャ」とを区別するのとまっ
>たく同じに使っていたのですが、よく分らないので、簡単にご教示願えれば幸いです。

 「李氏朝鮮」、そのような常識がいつ作られたのでしょうか? 「韓国併合」
(「日韓併合」ではないのです。これも日本の常識になっていますが)

 韓国併合で日本は、「大韓帝国」の国号を「朝鮮」(本来なら国がなくなるのです
から論理の矛盾ですが)に変えます。それが植民地時代の「朝鮮」(地域名。国名で
はない)の呼称です。その事実から振り返れば見えてくるものもあるはずです。

 それでは。
  金 国雄 拝


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Re:ささやかな疑問より(文献『旅順虐殺事件』) 投稿者:樹々の緑 投稿日:2006年 3月20日(月)00時16分31秒
 金国雄さん、こんばんは。

 きょうは、急な突発的仕事が入ってしまい、2時間ほど前に帰宅したばかりです。とりあえず、またまた深夜になる前に、何か書き込みだけはしておこうと思いました。

>  「教育基本法」、憲法改正における「国民投票法案」に関して同感です。
> この点、私も心配をしているのですが、何分時間がなく詳しいことを追う
> ことがかないません。
>  できましたなら無理なく時間の許す時にでもその動きや解説など法律に
> 詳しい立場からお願いできないでしょうか?

 えーっと、私も新聞に報道されている以上に詳しく知っているわけではありません。また、「法律に詳しい立場」といっても、昔、法律をちょっと学んだというだけです。 ま、それでも、この両法案を巡る動きは、結局憲法(9条)改悪、というか、もっと露骨にいえば、現憲法とはまったく似ても似つかない、近代立憲主義憲法原理の否定ともいうべき、別の劣悪な憲法「制定」の策動に深く連動しているわけで、戦後史の総括にも繋がる概観が必要だと思っています。
 そうした観点から、近日中には、投稿したいと思っております。

 きょうは当地では風が非常に強く、疲れていたのに急に「動員」されたので、何だか喉が痛みます。本当は、イラク侵略3周年中央集会にも行きたかったのに…。

 ついでで話を変えて済みませんが、甲午農民戦争、昨年買ったままになっていた『未来をひらく歴史~東アジア3国の近現代史』を改めて参照しました。

> これはこの戦争の性格での反封建、反帝という要素が近年大きくクローズ
> アップされてきたこととその主体が東学の信者という狭い範囲ではなく封
> 建支配下にあった農民による体制変革(革命)を目指したといわれるとこ
> ろによります。(この点に関して理解を深めるべく今年の勉強の重要な課
> 題の一つにしたいと私は思っております)

 『未来をひらく歴史』にも、そのように解説がありました。同書の記述は、何だかゴチャゴチャしている印象で、「読みにくい本だな」と思っていたのですが、とにかく、基礎教養としてこのレベルは押えておかねばならないなと、感じました。
 「ゴチャゴチャした印象」の一つに、最初の、前史部分で日本社会の封建的性格についての記述(6~7ページ)は、自分の国だからでもありますが、経済的土台の構造と関連させてよく理解できるのに、それに比べて、朝鮮の前史部分の記述(8~9ページ)が、「両班」を支配層とする身分社会であるといっているにも拘らず、商業の発展とともに大邱地方のデータで1858年には全身分中両班戸が3分の2以上を占めている(さらに残りの大半を平民戸が占め、奴婢戸はほとんどいなくなっている)など、わけの分らない記述があることです。それと関連するのか、民衆の運動についても「改革要求」という非常に抽象的な記述に止まっており、金さんの「反封建、反帝という要素」「封建支配下にあった農民による体制変革(革命)を目指した」というご指摘で、初めてスッキリしたのでした。

 そのように理解すると、欧(露を含む)米列強が、中国に主たる関心を持っていたため、日本のような小国にはそれほど力を注がず、また、地続きでもなかったことから、朝鮮のように中国植民地化政策の影響も相対的に受けなかった歴史時期の間隙を縫って、同じように封建制経済社会の基盤が揺らいでいたこの3国のうち、幸運にも日本がアジアにおける近代国家としての自立を何とか遂げることができた、という事情がよく分ります。

 その点に関して、新政府成立の4年後、1871年11月から1年10か月間をかけて、欧米12か国を回って政治・法律・経済・社会の様子を視察させた岩倉使節団の重要性も、本当によく分りました。

>  この使節団の性格には、近代日本が歩もうとした道がよく示されていま
> す。アジアを抜け出して、西洋の強国の仲間に入ること。それは、西洋よ
> りもアジアは”遅れている”と考え、”進んだ”日本がその下にアジアを
> 置こうとする道にもつながるものでした。

 この、「新政府をつくって間もないのに、その中心人物たちが2年近くも国を留守にし、欧米諸国を貪欲に見て回った」明治政府の施策を、「日本人の優れた性質」の根拠と見れば、いまの国家主義的な歴史観が容易に導けるのではないでしょうか。

 1875年の江華島事件は、岩倉使節団帰国のわずか2年後のことです。
 どこで見たかは忘れましたが、1876年の日朝修好条規の第1条で、当時清国が朝鮮を朝貢国扱いしていたのに、日本はその独立性を尊重した、それなのに朝鮮は、その恩義を忘れて歯向かったというような記載があったように記憶していますが、日本人の犯罪に対する日本の裁判権を認めた同条規第10条などを見ると、それが如何に逆立ちした見方か、むしろ上の引用の方の的確性が、よく理解できます。

 これらの深い理解の点で、私が非常に重要だと思うことは、一世紀半前の東アジア3国の民衆が、欧米列強の外圧に直面し、同時に内部的には、封建社会の矛盾を解決する変革の課題に同じように直面していた、ということです。似たような苦しみを受けている民衆の立場に立つならば、「反帝・反封建」の国際的連帯こそ(それはちょっと、当時の交通・通信事情から難しかったとは思いますが…)図らねばならなかった、それなのに、日本国家は、むしろ帝国主義的進出を図る欧米列強の末席に連なり、その真似をして東アジア民衆に対する抑圧者として振舞ってしまった、ということでしょう。
 日本人としてその痛恨の思いを持つ(それは何も、自尊心を傷つけられるようなものではない)ためには、朝鮮・中国の経済社会の発展と矛盾が、日本社会が当時抱えていた矛盾と、異なる特徴を持ちつつも、いかに本質的に共通していたかを、よりダイナミックに把握することが必要で、その点の物足りなさを、韓国の前史部分の記述には感じたのでした。

>  なお、「李氏朝鮮」との呼称に関しても注意が必要と思います。「朝鮮」
> となるでしょう。歴史的用語一つでも非常に難しい問題があります。

 この点、ウィキペディアなどを見ると、たしかに、現代韓国の表記では「李氏朝鮮」は植民地史観によるものであるから、「朝鮮」と呼ぶのが正しいとされるとありました。私の感覚では、「ササン朝ペルシャ」と「アケメネス朝ペルシャ」とを区別するのとまったく同じに使っていたのですが、よく分らないので、簡単にご教示願えれば幸いです。

 オフラインで原稿を書いて、いざ投稿となったら、金さんの新しい投稿を発見。
 ご教示ありがとうございます。