訂正了解です 投稿者:樹々の緑 投稿日:2006年 3月25日(土)10時52分10秒
金国雄さん、おはようございます。
実はこれからまた、突発的な仕事です。
一つ一つの書込みに当座の対応をすると、そのことだけに議論が集中して本筋を見失うおそれがあると懸念したこと、他方であまり大幅な補訂(但し、当初の趣旨は変らない)をすると、脈絡がややこしくなるので、これ以上いじらないようにしたのですが、今回の金さんの訂正で、改めてはっきり私に分ったことがあります。
金さんや(ここで引き合いに出して申し訳ないけど)まことさんは、本当に多量の「ネットサーフィン」をされているように感じていますが、私は、時間的・状況的制約があってそれはできません。また同じような理由から、いわゆる「右翼的」と言われる人たちの本を物色する余裕もありません。
したがって、それを前提にして受け止めてほしいのですが、「日韓併合」という用語法を問題にした場合、例えば、日本による韓国(朝鮮のこと)の植民地化を、当時の韓国の人民がむしろ望み喜んで受け入れたという「主張」(「事実」ではありません)とは、意味的にまったく繋がらない、と考えます。「日韓併合」という語の意味と、その「併合」に朝鮮人民がどのような態度をとったか、ということとは、まったく別の事柄である、と考えています。
ですから、「日韓併合」という用語を使ったから、朝鮮人民が植民地化を歓迎したニュアンスが出る、という感じ方を金さんがしているとしたら、それは多分違います。それは、「日韓合併」という語を使った場合でも、同じだと思います。
それと、漢字は表意文字なので、適当な結合によって日本語の「熟語」を生み出す造語能力が高いと思います。日本人はそれを、活用してきたと思います。そしてそれは、権力者が意識的に生み出したこともあれば、生活の中から、ふと発案されたこともあったでしょう。そういう経緯の中で、現在の語の意味内容は、ドリフトしつつも確定していくのだと思います。
しかし何れにせよ、定着した後でその「人工的造語だ」という性格が、日本人に違和感を持って受け止められることはないでしょう。違和感があれば、使用への抵抗感となって、結局定着しないで終るだけです。
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Re: Re:「言葉」の難しさ(大幅補訂あり) 投稿者:金 国雄 投稿日:2006年 3月25日(土)08時24分4秒
樹々の緑さん、おはようございます。
> > 両国民が対等での合併ならば、それは侵略とはいわないでしょう。
私の以前の投稿文の中、↑少しばかり訂正させてください。ただし樹々の緑さん
の意見(反論)を損なうものではないものと考えますで。
「両国民が願い対等での合併ならば、それは侵略とはいわないでしょう。」
> 「日韓併合」という言葉は、「日本による韓国の併合(=植民地化)」という意味で
>理解していました。その形式が「条約」であろうとなかろうと、日本が主体となって、
>韓国を植民地化した事実に何の変りもないと考えています。「日韓併合」と言った場合
>に、決して「韓国による日本の併合」という逆の意味には解釈されません。それは、日
>本語で「併合」はサ変他動詞(主語が先・目的語が後)なのに、「合併」はサ変自動詞
>(他動詞としても使いますが)だということも関係があるかも知れません。その意味で
>は、私の意識の中では、真実を隠蔽する何の「粉飾」にもなっていないのです。
「韓国併合」での「併合」とは造語です。それと「韓日併合」と韓国や在日などでは
使われるケースがあります。
それでは。
金 国雄 拝
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Re: Re:「言葉」の難しさ 投稿者:金 国雄 投稿日:2006年 3月23日(木)21時56分41秒
> 一つ一つ、対話を進めていきましょう。「論争」形式ではなく。
投稿途中、樹々の緑さんより以上の投稿がありましたので、ヒートアップを
防ぐため一旦休憩に入ります。明日は留守にする関係、また今週土日も家庭的
な事情もあり基本的には月曜日以降にでも一つ一つ、対話をと考えます。
樹々の緑さん、お願いします。
それでは。
金 国雄 拝
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Re: 「言葉」の難しさ 4 投稿者:金 国雄 投稿日:2006年 3月23日(木)21時50分37秒
それでは本題に入ります。
> 『未来をひらく歴史』は、いわゆる『新しい歴史教科書』にいわば対抗して、日中韓
何故疑問を持ったのであればそのことを大切にしないのですか。せっかく疑問に思っ
たのに。「全てに疑問を持ちなさい」とある方の言葉にはありました。
私は該当の文献『未来をひらく歴史』を見ていません。事情があって読みそびれて
います。
未来をひらく歴史―日本・中国・韓国=共同編集 東アジア3国の近現代史
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4874983413/qid=1143117765/sr=1-1/ref=sr_1_10_1/503-8582089-1683939
交流し、理解し未来をひらく
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-05-30/02_01_1.html
日本での反応は?日中韓共同編集『未来をひらく歴史』完成
http://www.janjan.jp/world/0505/0505270535/1.php
まだまだこれからの事業と思います。それは大切なことで、樹々の緑さんの疑問や
前向きな意見も必要としていると思います。最近の韓国の日本語版ニュースによれば
韓国での歴史の見直しがはじまっています。
取り上げられた資料(記述)ではそのようなものの意味が良く分かりませんが、
考えられる(推測するに)労働者階級への萌芽として「農民の分化」ということも
視野に入れなければならないのではないかと? 封建制での身分制度の崩壊とも。
「生産関係」での抜け落ちている部分がないのか? 富裕する一部農民と反対に没
落していく農民も当然多くいたものと考えます。(農民の反乱も頻発するわけです
から)
必ずしも「両班」身分の売買が封建制身分への上向のみ意味するのではなく「生
産関係」と直接関わることをその中に見出すかもしれない。
身分制のでの移動に関して「空名帖」(私が知る限りその嚆矢と思えますが不勉
強ながら)を是非調べてください。
つづく。
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Re:「言葉」の難しさ(大幅補訂あり) 投稿者:樹々の緑 投稿日:2006年 3月23日(木)21時16分14秒 編集済
一つ一つ、対話を進めていきましょう。「論争」形式ではなく。
> 権力者・支配階級は何を教えるのか。
私は、『未来をひらく歴史』の朝鮮前史部分の執筆者が、必ずしも権力者におもねって記述をしているようには思えませんでした。10回も協議が重ねられたということですから、相当突っ込んだ議論が交わされたはずです。
> では「日韓併合」との用語、それが史実を反映しますか? 武力による強要もなく
> 両国民が対等での合併ならば、それは侵略とはいわないでしょう。
「日韓併合」という言葉は、「日本による韓国の併合(=植民地化)」という意味で理解していました。その形式が「条約」であろうとなかろうと、日本が主体となって、韓国を植民地化した事実に何の変りもないと考えています。「日韓併合」と言った場合に、決して「韓国による日本の併合」という逆の意味には解釈されません。それは、日本語で「併合」はサ変他動詞(主語が先・目的語が後)なのに、「合併」はサ変自動詞(他動詞としても使いますが)だということも関係があるかも知れません。その意味では、私の意識の中では、真実を隠蔽する何の「粉飾」にもなっていないのです。
「韓国併合」とすると、それを日本が行ったという事実は、用語の中から抜けてしまいますね。今の歴史研究者が、どういう意味で使っているか、私と同じ意識で使っているかは、知りませんが、一般人は「日本による韓国併合」を縮めて「日韓併合」と呼んでいるように思います。「併合」という言葉自体に、強制的な併呑(へいどん。一つに合わせ従えること)との意味合いが含まれている語感があるからです。例えば、私の手許にある『広辞苑』第2版では、「併呑」の項に、「あわせのむこと。一つにあわせ従えること。併合。」と説明されています。その意味で、「合併」という言葉のニュアンスとは違う感じがしています。
金さんは、引用部分を見ると、「併合」と「合併」とをまったく同列に(同じ意味に)感じておられるようです。しかし、金さんも当然前提にしていると思いますが、日中韓3国はともに漢字を使った言語表現を用いる(用いていた)国ですが、日本で「手紙」という漢字熟語が示す意味は、日本人が使う意味を探る場合、決して中国語で「手紙」が意味する「トイレットペーパー」という解釈をしてはならないはずです。韓国で「併合」と「合併」がまったく同じ意味で使われているとしても、日本で「併合」という漢字熟語が、「合併」と同じ意味になるとは言えません。そして、ここで問題にしているのは、あくまでも日本における「併合」という語の意味なのです。
仮に、「併合」という語と「合併」という語が、金さんの言うように同じ意味であるなら、「ドイツ・オーストリア併合」(それは不当です)というのは、金さんによると正しくない表現になるのでしょうか? 少なくとも私は、それは「ドイツとオーストリアとの合併」とは違う意味で受け止めています。
しかしこれは、考え直す必要があるかも知れません。とくに「条約」という言葉を語尾に付加すると、何か合法的な語感になりますから…。でも、それは「日本による『韓国併合』条約」といっても大して変らないとも思うのですが…。
要は、事の本質なのではありませんか? そして、「事の本質」という意味では、上述のように、「日韓併合」という日本語の言葉自体に、事の本質を粉飾して隠蔽するニュアンスは、私には感じられないのです。
なお、金さんがなぜ「日韓併合」という言葉が史実を表しているかを問題としたのか、訝しく思っているのですが、以前の私の投稿中にそのような言葉があり、当時からその表現を不満に思っていたということでしょうか?
そして、ここからが本題ですが、「アケメネス朝ペルシャ」と「ササン朝ペルシャ」とを区別するのと同じ意識で王朝名を使ってはならないとする理由が、どのような歴史観に基づいているのか、それと、現在の韓国で一般的と思われる「開国直前には支配身分である両班戸が人口の3分の2を占めていた」という歴史認識とが、関係があるのかないのか、議論がすれ違っているような気がします。「空名帖」について、グーグルで検索して「大河の釣り人」というサイトの用語解説を参照しました。「科学的社会主義」の立場(大事なことはこの点です)によれば、そのようなものは「封建身分」として重要ではない。生産関係上の実質的位置が伴っていないからです。「空名帖」を乱発した封建的支配階層(これを何という概念で呼ぶかは知りません)の意図は分りましたが、その「空名」を実数のように扱った(と思われる)4つの円グラフの統計は、ますます意味が不明になります。なぜ「実数のように扱った」と言えるかは、その表題が「朝鮮社会の身分階層の変化(大邱地方)」となっているからです。ぜひ実物を見て読んで下さるようお願いします。私は、こうした歴史観に基づいて行われた一種の言葉狩りの結果だとしたら、科学性という見地から堪らないと思っているのです。
そうではなく、金さんが、私を始めとする日本人の意識下に、日本の権力者による歴史教育の無自覚な影響があるのだと指摘するのなら(それは当然にありますから、そのこと自体を否定するものではありません)、同じ戦争を「大東亜戦争」とは決して呼ばず、「太平洋戦争」と呼ぶのと同じように、用語の背後にある「歴史観」の違いを、ストレートに教えてほしいのです。私は、よく分らないからお尋ねしているのであり、それ以外の何の底意もありません。
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Re: 「言葉」の難しさ 3 投稿者:金 国雄 投稿日:2006年 3月23日(木)21時14分33秒
イラクのみならずアフガニスタンへの武力行使もブッシュは行った。確かに、
非民主的、非人権的な国かもしれない、しかし、その国を変革するのはその国
の人たちではないか。また関係する人々。それが自由であり民主主義ではない
のか?
勝手な理屈でまた自己の利益のため非民主的、非人権(道)的な方法で他国、
その人々の運命をもてあそび奪うこことのどこに道理や正しさがあるというのか!
そのようなことをかつての日本(帝国主義)は行ってきた。そのことを覆い
隠す言葉で飾り。
だからなにも私は傷ついてもいないのですよ。はなから傷つくぐらいなら(
それを恐れるぐらいなら)このような活動(朝鮮半島(韓国、北朝鮮)での民
主化や歴史問題をはじめ平和問題)を多くをかなぐり捨て失いながらやること
はなかった。どうしてもそのような社会が許せなかった。
いまでもコンピューターに向かう私の背後には厳しい視線があります。
夫婦の会話も途切れがちになります。そのような犠牲を払いながらもどのように
理解してもらうかという問題も個人的にはあります。
つづく
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Re: 「言葉」の難しさ 2 投稿者:金 国雄 投稿日:2006年 3月23日(木)20時36分44秒
人は社会また学校教育でも歴史を不十分ながら学びます。これはけして日本人
ばかりではありません。在日も韓国、朝鮮(北朝鮮)の人々もそれぞれの社会で
学びます。権力者・支配階級は何を教えるのか。
それは権力に都合の良い歴史です。(しかし、それは民主化・いかに人民主権
が勝ち取られるかの進度によってことなる)
例えば、在日(韓国の日本語版ニュースを見ていても)でもその影響は受けま
す。この日本の社会教育からも。歴史(歴史用語も含む)問題をとっても。「日
韓併合(条約)」でもそうです。
日本のまた在日の進歩的といわれる歴史研究者のなかですらいまだその言葉が
出てくる場合もあるものと思います。では「日韓併合」との用語、それが史実を
反映しますか? 武力による強要もなく両国民が対等での合併ならば、それは侵
略とはいわないでしょう。(勿論、「一進会」など当時の朝鮮の日本政府に呼応
する一部親日勢力もあった。しかしものの見事に役割を終えれば切捨てられた歴
史もあります)
話は変わり、先日紹介した
『日本軍兵士・近藤一忘れえぬ戦争を生きる』
http://www.fubaisha.com/search.cgi?mode=close_up&isbn=0532-2
のなかにも、教育(社会や軍隊での)の果たす重要な役割に触れていた。
「支那」ばかりでなく「チャンコロ」です。そして自らの「人格」も失いなが
ら何の疑問も持つことなく中国の民衆を殺戮していきます。それはイラクで米英
はじめ多国籍軍が行っている状況と同様と考えます。そこには韓国軍も「米韓軍
事同盟」のもと派兵されている。軍事政権時代の「ベトナム派兵」もありました。
つづく。
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Re: 「言葉」の難しさ 1 投稿者:金 国雄 投稿日:2006年 3月23日(木)20時04分24秒 編集済
樹々の緑さん、こんばんは。
私たちの世代になるとやはり体をいたわって行かなければならないと思います。
無理をすればその反動も若いときに比べて消化することができず、もろに響いて
きます。
*引用はところどころ断りなく省略しますので宜しくご理解のほどをお願いします。
> 金さん、私の素朴な知識不足から来る用語法によって、あなたが傷ついたと
>したら、それはお詫びします。ただ、分らないことはたしかに分らないので、
>金さんにお尋ねしたかったのです。
これは少し誤解があるように思います。当掲示板で私が過去の日本にる歴史問題
を取り上げる場合基本的に日本(帝国主義)のアジアへの侵略(日中戦争を含む)
とその植民地支配、占領地政策、帝国主義間の戦争に関して否定的な視点で二度と
起こることのないように強く取り上げます。けして朝鮮・北朝鮮での民主化問題の
みに限定しません(場合によって北朝鮮問題とも関係すると考えるため)
しかし、朝鮮(韓国)と日本の市民(民衆)との二項対立的な考えを持ち込むこ
とを私は自身にいさめる考えを持ちます。しかし問題点としては取り上げます。
例えば昨日の「まことさん」の投稿での対話でも重要なことであった、私たちが
朝鮮・韓国人とか日本人とかの民族や国の違いにとらわれてはならないということ
が非常に重要なことと考えるからです。
その中で私たちが歴史から学ぶことで一つには「歴史的用語」(言葉)の問題も
けして軽視できない非常に重要な問題であると考えるからです。
つづきます。
*見直す時間がないため誤字脱字等があるかもしれませんがご容赦ください。
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「言葉」の難しさ 投稿者:樹々の緑 投稿日:2006年 3月22日(水)22時45分58秒 編集済
金国雄さん、こんばんは。
喉の痛みはやはり体調不良のしるしだったらしく、昨日はダウンしてしまいました。もっとも、自製「リンゴ酢蜂蜜」でかなり元気になりましたが。
そうこうしているうちに、書き込みがどんどん進んでいることに嬉しいやら驚くやら。
まことさんは本当に博識かつ健筆ですね。感動してしまいます。そうでなければあのサイトの管理などとてもできるはずはありませんね。私は、あくまで自分の感じたことから、周辺知識を拾って思考しているだけで、とても体力が持ちません。
金さん、私の素朴な知識不足から来る用語法によって、あなたが傷ついたとしたら、それはお詫びします。ただ、分らないことはたしかに分らないので、金さんにお尋ねしたかったのです。もしかするとこれは、あなた方にとっては「賽の河原の石積み」のように感じられるかも知れません。しかし、客観的にはやむを得ないものではないかとも思っています。というのは、私にしてみても、他者が知らないことに苛立ちを感じたとしても、正確に知らせなければ目的を達せられないことが山ほどあり、手短に知らせる以外にはないからです。
その上で、用語法を除外しても非常に疑問なことが、先日の引用文献にもあるのです。
『未来をひらく歴史』は、いわゆる『新しい歴史教科書』にいわば対抗して、日中韓3国の歴史研究者が一堂に会して、協議を重ねながら執筆して同時刊行した近現代史書です。そこでの朝鮮史は、韓国の歴史研究者が、日本の高校生世代に当る人々を読者として相当の普遍性を持つ記述をしていると理解できます。日本史部分がそうだからです。
ここから先は、いわゆるマルクス主義的社会観・社会発展史観をある程度前提とする議論なのですが、来るべき労働者階級の権力の樹立による・階級そのものの廃絶を目指す新しい社会において、初めて「多数者が支配階級となる」社会・その意味で最後の階級社会が実現する、と理解しています。したがって、封建社会や資本主義社会段階で、社会の「多数者」が支配階級(ないし支配階層)だということは、ありえなかったはずなわけです。
とすると、韓国歴史研究者(もちろん、マルクス主義者ではなかろうが)が、わざわざ『未来をひらく歴史』の前史部分(同書9ページ)で、「朝鮮社会の身分階層の変化」と題して大邱地方の200年近くに亘る身分構成の変化を円グラフで示し、開国直前の朝鮮社会は身分社会であるといいながら、支配身分たる「両班戸」が全体の3分の2を占めていることを、いかなる意味で提示しているのか、私にはどうしても理解できないのです。一部の農民と商人が、商品経済の発達で金持ちになって両班の身分を買った結果、こうしたことになったらしいことは推測がつきますが、それは「生産関係」ではありえない。
こうした奇異な記述は、中国前史部分にはありません。日本前史と同じく、生産力の発展と商品交換経済の発達によって、農民の中から初期資本家が出現した、他方で封建支配勢力は、相対的に落ち込んだ経済力を補強するため、農民・都市商業資本家からの収奪を強化したので、一方で困窮農民の没落をもたらし、他方で自力をつけた有力農民・豪商から強固な抵抗を受けるに至った、という趣旨の記述があります。
金さんはご存知だろうと思いますが、日本の歴史学においては、マルクス主義的なテクニカルタームが、共通の概念としてある程度定着しているように思います。そのため、日本(や中国)の前史部分は理解しやすく、韓国のそれは理解に苦しむところがあるのかも知れません。
もう一ついうと、李王朝(朝鮮王朝)より前の朝鮮を「古朝鮮」、それ以後を「朝鮮」と呼ぶわけですよね。それは、版図によるものなのでしょうか? 先ほど触れた社会発展史観によれば、時代区分が「古」と「新または現」と区分される根拠は、何なのか、それも分らない。
日本にも、同じ封建社会でありながら「鎌倉時代」「室町時代」「戦国時代」「江戸時代」というような小区分がありますが、「古日本」と「日本」という区分はありません。それは、マルクスが言う「アジア的奴隷制」「アジア的共同体」「アジア的生産様式」と関係しているのでしょうか。
何でこんなことを言うのかというと、こうした「歴史観」から、「植民地史観による用語であるから、正すべきである」といわれても、「はい、そうですか」とは言い難い気持ちがしたからです。それは、私が自国の民衆の歴史をゆがめるものとして、同時に金さんが、朝鮮に対する植民地支配を正当化するものとして『新しい歴史教科書』の歴史観を拒否するのと、まったく同じことです。わが国の植民地支配時代において初めて「李氏朝鮮」という用語法が確立したことを指摘されるなら、その用語法が同時に「植民地(支配正当化)史観の産物である」というように直結する、そのことの説明がほしかったのです。歴史について日本の一般的教育を受けただけの1人の人間として。
こうした議論が、ややもするといわゆる「右翼」の介入を呼びそうなことは分りますが、深いレベルでの日本の民衆との連帯・団結を図る上で、とても大事な点だと思っています。
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まことさんへ 投稿者:金 国雄 投稿日:2006年 3月22日(水)19時24分31秒
まことさん、こんばんは。
>日本の民衆社会も自らの力でかような「反動」を抑止し得なかったという
>歴史的事実を私達は認識すべきだと考えます。
本当にしっかりとした歴史観を持っておられる。私がこの掲示板で伝えたいこと
、大切な歴史観です。そしてそれは私たち朝鮮・韓国人にも言えることです。
アジア、世界の市民(民衆)の真の連帯めざす上での根本ですね。そして、絶対
的な平和を築いていく上でも非常に大切なことです。社会の進歩を皆さんとともに
目指していきましょう。
まことさん、ご家族の皆様のご健康と、まことさんのさらなるご活躍を切に願い、
今日は本当に美味しい酒が呑めます。
それでは失礼いたします。
金 国雄 拝